文化庁に対する文化財保護審議会の答申(無形民俗文化財関係−平成10年11月)における「菊池の松囃子」の解説の部分

00/03/14
 
(1) 文化財の所在地  熊本県菊池市大字隈府

(2) 保護団体      松囃子御能保存会

(3) 公開期日      10月13日

(4) 文化財の概要

 菊池の松囃子は熊本県菊池市に伝承される芸能で,毎年10月13日の菊池神社の秋の大祭に懐良(かねよし)親王ゆかりの将軍木(しょうぐんぼく)と称する椋の大木に向かって建てられている能舞台で演じられる。

 松囃子とは中世に流行した芸能で,元々新春に祝言を述べ種々の芸能を演じたもので,その芸能の種類から,つくりものや仮装など風流系のものと,能・狂言系統に大別されるが,菊池の松囃子は能・狂言を演じる松囃子として,古風な面影を残している。

 その起源については定かではないが現在伝承されている詞章などから見て少なくとも室町時代から伝承されていると考えられる。

 菊池の松囃子は舞人一名,地謡(じうたい)方(人数不定),大鼓二名・太鼓一名の囃子方,及び介添え役一名によって演じられる。

 演技は三段で構成されており,初段は舞人が立ち上がり祝言を述べ,二段目は地謡と囃子に合わせて笹を持って三番叟(さんばそう)風の舞を舞う。三段目では,舞人は笹を扇に持ち替え舞い納める。全体として舞いの振りは古風であり,謡の調子にも素朴な要素をとどめるものといえる。

 中世の松囃子の一形態を伝えるものとして特に重要であり,能の変遷過程を知る上でも貴重である。

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