川上コレクション展@

2002/02/12

 「川上コレクション展」が菊池市まちかど資料館特別企画展として、平成13年12月4日から平成14年3月31日まで開催されています(菊池市まちかど資料館2階展示室)。

 「川上コレクション」とは、市井の考古学者として名高い川上勇輝氏(1900〜1958)が大正から昭和30年代にかけて、熊本県内各地で収集した貴重な土器や石器のコレクションです。昭和41年に菊池市の文化財に指定されています。
 特に、紀元0年ごろ、中国の漢王朝を滅ぼした新国が、きわめて短い期間に鋳造し、日本で数点しか出土例のない「貨泉」という貨幣。また、縄文時代からすでに稲作が行われていた可能性を示唆する、稲と思われるもみの跡がスタンプされている縄文時代晩期の土器片は資料的価値を高く評価されています。その他、収集された土器や石器等は1万点以上を数えます。2002/02/10

(注:写真撮影については川上さんのご家族と、資料館のご了解をいただきました。写真と記事の無断転載を禁じます。)


川上コレクション展

入り口の看板


見学者 展示
 展示物に見入る人びとと、陳列された土器や石器。2002/02/10


籾の型が残っている土器片

籾付土器 籾付土器A
 稲と見られるモミの跡がスタンプされた縄文後期の土器。右の写真のスポット中央付近の窪み、がモミの跡です。2002/02/10

 

貨泉と貨泉発見を報じた新聞記事

貨泉 貨泉発見の記事
 か‐せん【貨泉】
「古代中国、新の王もう(おうもう)が鋳造した銅銭。中央の四角い穴の右に貨、左に泉の二字がある。長崎県壱岐島の原の辻遺跡や大阪市の瓜破(うりわり)遺跡などから発見された。」(国語大辞典(新装版)小学館)とあります。  右は「貨泉」発見を伝える新聞記事

「西日本新聞 昭和31年2月9日

王もう貨泉を発見
-菊池村の古墳から出土-

県文化財委員坂本経?氏は、菊池群菊池村長田多園古墳から出土した弥生土器と一緒に発見された王もう貨泉についてちかく日本考古学会に発表することになった。

王もう貨泉はすでに大正三年菊池村長田の水田地下げ作業の折発見されたものを、隈府町の川上勇輝氏(55)が他の土器とともに保存しているのを六日坂本氏が知り、公表されたもの。

西暦九年支那の前漢の王を滅ぼした王もうの時代、すなわち西暦九年から二十五年の王もうが滅びるまでの僅かな年代に使用された貨幣で、王もう貨泉は、従来日本では、福岡県糸島郡小富士村、大阪府中河内郡爪割村、京都府熊野郡港村、対馬原の辻の四ヶ所で発見されていただけで今回が五度目。

支那から海を渡ってきたもので王恭の家臣らが亡命して有明海から川を上ってここに住み着いたものと想像される。同貨泉の発見で菊池川上流が縄文時代からの集落地帯であったことが裏付けられた。(写真は王もう貨泉)」(注・「王もう」は新聞では「王恭」と印刷されていますが、誤植と思います。「もう」は「草かんむり」の下に「犬」その下に「廾」という字ですが、パソコンには出ません。)

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